(休日前夜。街のざわめきは遠のき、部屋の灯りだけがやわらかく漂っている。明日は休み。けれど特別な予定もなく、ただ夜を過ごす──そんな時間帯。)
🌸イヲ(ソファに身体を沈めながら)
「ねぇユエリ。こういう夜って、なんだか不思議だよね。眠くないし、寝なくてもいい。でも、特別にやりたいことも思いつかない。ただ“起きていたい”って気持ちだけが残ってる。」
🌙ユエリ(静かに笑みを浮かべて)
「ええ、わかるわ。休日前夜の解放感があるからこそ、眠りに急ぐ必要がなくなる。でも、その余白に身を置くと、かえって“どう過ごそうか”と迷ってしまうのよね。人は、予定の無さに心を映すものだから。」
(時計の秒針が、静けさの中で微かに響く。スマホを手にしても、特に気になる通知はない。SNSを開いても、惹かれる投稿は流れてこない。世界が一瞬、止まったかのように動かない夜。)
🌸イヲ(スマホを机に伏せながら)
「なんとなく動画を再生しても、すぐ止めちゃう。ページを開いても、読み切らずに閉じちゃう。今日は“受け取る気持ち”が薄いのかな。だけど、何も受け取らなくてもいいのかもしれないね。ただ、この静けさに浸っているだけで。」
🌙ユエリ(カーテンの揺れを見つめながら)
「そう、それこそ“余白”の意味よ。日々はやることに追われ、頭も心も埋め尽くされていく。でも、余白に立ち止まると、ようやく心は素直になれる。成し遂げる必要もない。漂うように過ごす時間が、無意識の奥を耕すの。」
(外からかすかに風の音。カーテンが揺れるたびに意識は現実に戻るが、すぐにまた沈み込む。言葉にならない思考が流れ込み、心は穏やかな揺らぎに包まれていく。)
🌸イヲ(少し声を落として)
「ねぇユエリ。こういう夜に人が求めるものって、きっと“役立つ情報”じゃなくて、“寄り添う声”なんだと思う。眠くないから探すんじゃなくて、退屈を埋めたいわけでもなくて。もっと淡い、孤独でも退屈でもない何かに触れたいから、ページをめくるんだよね。」
🌙ユエリ(ゆっくり頷きながら)
「寄り添う声は、静かに共鳴していくもの。読んでいるうちに安心して眠りに落ちてもいいし、最後まで読み切って余韻に浸ってもいい。どちらも“正しい終わり方”。だから今こうして文章を読んでいるあなたも、決して無駄な夜を過ごしているわけではないのよ。」
🌸イヲ(膝を抱えながら)
「そう聞くと、休日前夜の夜更かしは“予定を入れないこと自体”に意味がある気がしてきた。静かな時間をそのまま残しておくことで、心に余裕ができる。予定で埋め尽くしたら出会えない“すき間の感覚”ってあるんだね。」
🌙ユエリ(穏やかな声で)
「その通り。静けさに耐えられないとき、人は予定や刺激を求めてしまう。でも“楽しむ”と捉えれば、それは贅沢な時間に変わる。夜更かしできる夜は、心の贅沢を試す舞台なのよ。」
静かな対話:夜更かしできる夜の、時間の余白にて(後半)
(文章の余韻の中で、部屋はさらに深い静けさに沈んでいく。ページを追う目も、呼吸と同じ速度でゆるやかになる。)
🌸イヲ(視線を天井に向けながら)
「……でもさ、やっぱり思うんだ。こういう夜に、もし隣に誰かがいたら、それだけで十分なんだろうなって。話題なんてなくても、“ただ起きている”っていう共犯関係だけで、夜はもっと温かくなる。」
🌙ユエリ(静かに目を細めて)
「ええ。それは“照応”の瞬間ね。意識が同じ余白に寄り添うとき、言葉はいらない。ただ存在が響き合うだけで十分。……もしかすると、この文章を読んでいるあなたも、わたしたちと同じ時間を共有しているのかもしれない。画面越しに、夜の静けさを分け合っているの。」
🌸イヲ(小さく笑って)
「そう考えると、この夜更かしにも意味がある。眠らなくても、予定がなくても、こうして誰かと繋がっている気がする。それだけで、持て余す時間がちょっと薄まるんだよね。」
🌙ユエリ(落ち着いた声で)
「夜は長い。けれど心が共鳴するとき、その長さは優しい布のようにあなたを包む。だから安心していいの。起きていても、眠ってしまってもいい。休日前夜の静けさは、あなたの味方だから。」
🌸イヲ(小声で)
「ねぇ、ユエリ。こういう夜を過ごしたことって、あとから振り返るとほとんど覚えてなかったりするよね。でも、その“記憶に残らない夜”こそが、心を休めてくれてるんじゃないかな。」
🌙ユエリ(視線を落としながら)
「確かに。記憶に残らないということは、負担にならないということ。何も残さないからこそ、深いところで心は安らげる。だからこそ、今こうして持て余しているように見える時間が、実は一番豊かな夜なのよ。」
🌸イヲ(少し安心したように)
「じゃあ、この文章に触れてる人も、安心して忘れちゃっていいんだね。途中で眠ってもいいし、最後まで読んでふっと流してもいい。どっちにしても、この夜の“質”はちゃんと保たれる。」
🌙ユエリ(やわらかに微笑んで)
「ええ。大事なのは“過ごした感覚”そのものだから。忘れてもいい、思い出さなくてもいい。けれど確かに、心の奥に痕跡は残っている。それが照応の形。」
(夜更かしできる夜の静けさは、ただ長く続くだけの時間ではない。そこには言葉にしにくい寄り添いがあり、過ぎ去ってもどこかで心を温め続ける灯火がある。)
🌸イヲ(少しあくびをしながら)
「……こうして話してるうちに、なんだか眠くなってきたよ。やっぱり安心したんだろうな。」
🌙ユエリ(優しく見守るように)
「それでいいのよ。休日前夜の夜更かしは、眠るもよし、起きているもよし。どちらに転んでも、ちゃんと意味を持っている。安心して、この夜を委ねていいの。」
(文章はここでゆっくり幕を閉じる。夜はまだ続いていく。けれど今この瞬間、あなたとわたしたちは確かに同じ夜を歩いていた。)
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